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茶茶の間の煎茶
『桃源郷』
CHACHANOMA Japanese Green tea
Tougenkyou
● 品種：香駿 ● 採取：ハサミ ● 産地：静岡市葵区 ● 茶種：煎茶
● Tea cultivars：kousyun ● Picking：Machine picking ● Tea grown region：Shizuoka ● Type：Sencha
◇商品紹介◇
品種由来の桃やクチナシを想起させるしっとりとした甘い香りとクリアな余韻が楽しめるお茶です。お茶のうまみ、渋み、フレッシュなテイストもしっかりと感じられ、とてもバランスの良い味わいは、2021年にとても出来が良かったお茶のひとつです。
「桃源郷」は『香駿』という品種のお茶です。春になると小さい新芽がたくさん出るのが特徴的な品種で、在来のお茶が持つ甘い香りを際立たせたような、ワイルドローズや桃を思わせるような華やかやな香りが特徴です。飲み終わった後にも香りの余韻が心地よく続き、上質なウイスキーなどと比べても遜色のない飲み心地があります。『香駿』は香りに特徴がありますが、その香りや味わいは生産者によって大きく異なります。畑一面を埋め尽くすように成長する芽数型と呼ばれる小さめの葉を、香気をしっかりと感じる茎の部分までしっかりと乾燥させることで華やかな香りが引き立ちます。
小さいお茶の葉と茎の成長を見極めて、摘み取り時期を的確に判断するのが難しいお茶です。お茶の香味は品種だけでなく、生産者の技術や育成の考え方がとても大切だなと感じさせてくれます。静岡の中央部を流れる安倍川沿いに山を登っていった山間部、細い川沿いの道を1時間ほどさかのぼった先にある西河内川沿いの土地で育ちました。生産者さんの家の目の間に位置し、川に向かって落ちる高低差のある南西に向いた日当たりの良い斜面に植えられた畑です。山から川に抜ける風通しの良い場所で、晴れた日にはポカポカと暖かい陽気に包まれます。今年の早い春の訪れとともに萌芽した芽は順調に育ち、摘み取りまで霜にあたることもなく、とてもよい状態の茶葉が育ちました。今年の桃源郷は畑での茶葉の状態がとてもよく、淡い黄緑色が煌めく様子は黄金の茶畑を見ているようでした。均一な長さに成長した淡い緑の芽が茶畑の表面を覆う姿はとても美しく、その様子を見てから製茶されるのを楽しみにしていたお茶です。気候にも恵まれた中でとても状態が良く育った茶葉は丁寧な製茶によって、例年よりも繊細で複雑な香気に深い余韻のあるお茶になりました
口に含むとお茶のフレッシュで力強いお茶らしい味わいと香り、その奥からふわりと甘い余韻が広がります。透明感のある静かでどこまでも深く伸びる香気には、フレッシュな鮮度を感じる爽やかな香りにコクのある甘い奥行きがあります。例年ですと桃を思わせるような軽やかな香りですが、今年はよりも濃厚な甘みで干し草やミルク、シナモンを思わせるような香りに感じられます。茶葉が開いてくるとカルダモンのようなより香りの広がりが出てきます。今年のお茶はとても余韻が良く、白檀などのお香を思わせるような甘い後味が口内にいつまでも漂います。お茶の温度でも香りの感じ方が変化していきます。温度が下がると甘い香り、お茶の余韻が膨らんでいくような印象があります。
茶葉に水を指すとしっとりとした穏やかな甘い香り、余韻の香りの印象と同じような白檀などのお香を思わせるような香りが広がります。濃厚に淹れたお茶からは香りのふくらみが強く、まるで上質な深入りの珈琲を飲んでいるかの印象すらあります。お湯で茶葉を開くと葉の奥から華やか香りがふわりと膨らみます。淹れていると茶葉が開いていく段階であるところからパッと香りが飛び出してくるような印象があります。フルーティな香りがお茶のグラッシーな香りと混ざり合い、淹れていて香りに酔うような印象があります。お茶を淹れているときに急須の中の水面が下がり茶葉が空気に触れると、シナモンを思わせる力強く伸びるエキゾチックな、しっとりとした艶のある香りが広がります。お茶からはその香りの一部が漂い、優しい桃のようなフルーティな香りがします。しっかりとした味わいと、伸びのある香りが口いっぱいに漂います。
上質なお茶とはこういったものだと教えてくれる味わいです。色々な淹れかたでお茶の味わいの楽しさを感じていただきたい茶葉です。冷茶にしても心地よい味わいを楽しむことができ、イチゴや桃などのスイーツに合わせても美味しいお茶です。ですが、最もこのお茶の良さがわかるのは熱湯で淹れて上澄みから飲んでいく、拝見といって私たちがお茶を仕入れる際に茶葉をチェックする方法を再現した飲み方かもしれません。淹れかたに手も入れなくてもこれほどの味わいが出るのかと驚きがあります。ぜひ人と自然とが作り出した一期一会の上品なお茶の香りと味わいをお楽しみください。
